相手を精神的に追い詰めるモラルハラスメント。
これまで、他人から理不尽な攻撃を受けてきたり、他人の身勝手な支配欲の餌食になってきた人は、「自分が弱いから」「自分に自信がないから」など、自分を責めてきたのではないでしょうか。
そして、自己啓発や心理学の本を何冊も読んで、頭や心では理屈を理解しながらも、一向に状況が変わらない人も多いのではないでしょうか。
今回レビューする『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』は、家庭や会社で「モラハラ」を受けている人が、現在置かれている環境で、相手からの攻撃&支配を止める方法が書かれています。
なので、対人関係の心理学や精神論のような説法でもなければ、他人を攻撃&支配してくる人の立場や感情を理解して、自分自身の心を楽にする本でもありません。
理不尽なモラハラで日々苦しんでいるけど、離婚したり転職したりして環境を変えることは出来ない人は、ぜひこの本を読んで実践して欲しい一冊です。
相手から「攻撃&支配」されないために必要なこと
攻撃&支配する人のメカニズムを知る
夫婦でも職場でも、人を攻撃&支配したがる体質の人がいれば、人から攻撃&支配されやすい体質の人がいますよね。
でもそれは、人から攻撃&支配されやすい人の「人間性」が悪いわけでないんです。
本書では、そもそも人を攻撃&支配しようとする人は、人の「人間性」を見ているのではなく、その人の立ち居振る舞いやリアクションを通して、攻撃&支配しやすい人を察知しているということが書かれています。
もちろん、リアクションは、少なからずその人の「人間性」が反映されるものなので、「人間性が変わればリアクションも変わる」ものではあります。
ただ、心理学をとことん読んで理解する必要もなければ、修行僧のごとく今の生活や精神を変える必要もありません。
必要なのは、人を攻撃&支配しようとする人の心理と行動を理解することです。
相手に抱く感情を変える
「相手を変えようとするのではなく自分を変えよう!」
これはよく言われることですが、本書で行う対処方法は「自分を変える」という点では同じですが、そこには、相手に対する思いやりや優しさは必要ありません。
そして、大切なことは、攻撃&支配してくる相手の存在に「無関心」になることです。
これは、相手に対する憎悪の感情も含めて心底「冷める」ことで、そこには何の感情も必要なく、それこそが本書を実践していくうえで大切な「ベース」になります。
なぜならば、攻撃&支配する人は、相手の喜怒哀楽すべてをリアクションから敏感に読み取り、喜怒哀楽すべての感情が攻撃&支配するための材料になるからです。
相手との関わり方を変える
本書では、「人間関係=人間性」ではないことを知ったうえで、攻撃&支配は、あくまで相手との「関わり方」の問題であることを理解する必要があると、繰り返し書かれています。
そもそも、「他人との関わり方は、その人の人間性が反映するものだから」と思われがちですが、その人の人間性なんて本来誰にもわかるはずなんてないんですね。
なので、人間性を否定されるような言われ方をしても、相手は「関わり方から勝手に人間性を推測して責めている」に過ぎないので、どんなに人間性を否定されても、傷つく必要なんてないし人間性を変える必要もありません。
あくまで大切なことは、相手に対する自分の「関わり方」が、攻撃&支配欲の強い人にとって「この人は攻撃してもいい人だ」と見なされているに過ぎないのです。
自分のリアクションを変える
では、具体的にはどのようにするのか。
ある程度の自制心と継続が必要ですが、本書で実践する対処方法は簡単です。
それは、自分自身の「日ごろのリアクションを変える」こと。
具体的な方法については、本書の主要なメソッドになるので控えますが、「何かをする」のではなく「何かをしない」ようにするのです。
それは、決して「相手を打ち負かす」ものでも「相手と戦う」ものでもありません。
つまり、相手が攻撃する心理に働きかけて攻撃する理由を失わせ、攻撃を意図的かつ戦略的に止めるわけです。
そのために自分がやることは、自分を攻撃&支配してくる相手に対して「リアクションを変える」ことなんですね。
これは、
「戦わずしてかつ」
ことであり、
「相手の攻撃を受け止めることなくかわし、反撃することなく相手の戦意を喪失させる」
もので、結果的にはまさに「合気道」の精神&実技に似ているかも知れません。
本書の構成
本書では、他人を攻撃&支配する人の心理とメカニズム、そして、他人から攻撃&支配される人の原因と対処方法が解説されています。
序章
序章では、「攻撃&支配」に関する基本的な解説をベースに、本書を実践していくための「6つの極意」が書かれています。
第1章(Step1~Step3)
第1章では、攻撃&支配する相手に、どのような意識で臨んでいけばいいのか、具体例を交えながら対処の土台となる「3つの心得」が書かれています。
第2章(Step4~Step6)
第2章では、第1章での基本的な意識と対処を踏まえながら、戦わずに勝つための「3つのルール」と具体的な対処方法が書かれています。
第3章(Step7~Step8)
第3章では、「支配欲」が強い相手に対する「強めの対処」のコツと、本書を実践していくうえで「忘れてはいけない目的」が書かれています。
まとめ
いかがでしたか?
この本は、専門用語も少ないし難しいことも書いてありません。
そして、攻撃&支配してくる人の感情や置かれている立場を、理解したり同情したりする必要なんてありません。
ただ、人を攻撃&支配する人の心理とメカニズムを理解したうえで、その人とどのように接するかが、単純明快に解説されています。
レビューを書いていても、この本の詳しい内容やメソッドを伝えたくてウズウズしてしまいすが、これまで似たような本をたくさん読んできたけど、結局何も状況が変わらない人は、ぜひこの本を読んで実践して欲しい一冊です。